出産
7月20日(土)
17時24分
3310gの息子が誕生した。
予定日から11日が過ぎての出産になった。
当日の16時くらいまで妻は短い間隔で押し寄せる陣痛の痛みに耐えていた。
普通分娩で出産することを考えていたが、陣痛の痛みが出るときに、胎児の脈拍が下がってしまうことが多かった。
子宮口も朝の時点では3センチで、その後は6センチまで開いていた。
それでも目安の10センチに開くまで時間がかかることが予想された。
そこで胎児の負担を考慮して、帝王切開に進めることが決まった。
それが16時の時点である。
帝王切開と聞き、胎児は取り出しやすくなることはわかったが、妻の身体にはメスが入る。
大丈夫だと振る舞っていたが、内心はとても心配だった。
17時に麻酔が打たれ、17時15分頃には手術が始まった。
待っている私達に様子がわかるようにモニターを見せてくれた。
ただ妻の身体にメスを入れるのは、見ていられなかった。(もともと血が苦手でドラマの手術シーンすら見ることができない)
そして17時24分に赤ちゃんが取り出された。
産声を聞いた瞬間は本当に感動した。
この世の出来事ではないような何とも言い表せない感情だった。
ただただ感動した。
涙が出そうになったが、必死に堪えた。
それからも赤ちゃんをモニター越しで見入っていた。
その後は妻の傷口を塞ぐところが映されていたが、私はまた見ることができない。
しばらくして、分娩室で赤ちゃんと対面した。
そこには本物の生き物がいた。
動いていて、泣き声を上げていて、こちらを見ている。
あぁ、父親になったんだと実感が湧いてきた。
実際に抱かせてもらった。
抱き方もわからないが、看護師の方に教えてもらった。
私の目をずっと見ている赤ちゃんを見て、最高に可愛いと思った。
私たち夫婦の元に産まれてきてくれてありがとう。
妻が病室に戻ってきた。
痛みが酷いらしく、唸っていた。
お腹が気持ち悪く、手術中にも吐いたそうだ。
苦しんでいる妻を見て、男の無力感を痛感した。
何もできない。
できれば痛みを分け合ってほしい。
でもそれができないのが男の運命だ。
ここまで痛みに耐え、身体に傷を入れてまで産んでくれた妻には感謝しかない。
出産の時に男は無力だが、大事なのはこれからである。
このあと力になることが、男の宿命だ。
このことを肝に銘じておこう。
最後になったが、今回の出産を執り行ってくれた先生、看護師の皆様には本当に感謝している。
ここまで来れたのは皆様のサポートがあってのこと。
感謝しています。
本番はこれから。
私たちがどう息子を育てるか。
楽しみで仕方がない。